入居一時金が0円の有料老人ホームを選ぶのは?
入居一時金が0円の有料老人ホームというのが近年注目されています。
特に介護サービス付きの有料老人ホームへの入居を考えている方のなかには、十分な準備期間を経て入居される方よりも、むしろ退院をしなくてはならないけれど、家族ではすぐに在宅介護ができないなど、緊急の状況になって検討される方も少なくありません。
そのようなケース場合には、費用面についても深く考える余裕がないことが多いですから、どうしても安いほうを選択しがちになります。
しかしながら、有料老人ホームでの生活にかかるお金については、目先のことにとらわれて性急に結論を急ぐのではなく、少し立ち止まって、現実的に熟慮する必要があります。
実際に探す場合には、費用の面だけではなく、ご本人の身体状況や立地などを含め総合的に考えなくてはなりません。
入居一時金が0円の有料老人ホームとは?
一般的に、民間企業が運営している有料老人ホームというのは、開設時にかかった土地や建物設備等の費用を、運営中に回収する必要があります。
多くの有料老人ホームでは、入居金の初期(入居時)償却分をここに充当しているといわれていますが、これは、有料老人ホームを安定して運営していくのには必要なことです。
よって、仮に入居金0円の有料老人ホームの場合には、入居時に回収できない分を月額利用料金に分散して上乗せしていると考えるのが妥当です。
なお、入居金0円のホームを選択する場合には、次のような事項をあらかじめ重要事項説明書等でよく確認する必要があります。
■昼夜の人員体制やサービスの仕組み
※管理費以外に別途発生する有料サービスの有無
■事業者からの契約解除(退去)...など
ちなみに、入居一時金がかかる有料老人ホームと0円の有料老人ホームを比較したあるシミューレーションによると、1年間の入居では入居金がかかる有料老人ホームのほうが多くかかるものの、5年間では同じになり、5年を超えると0円の有料老人ホームのほうが総額が多くなるという結果も見られます。
入居一時金がかかる有料老人ホームと0円の有料老人ホームでは、どちらを選んだらよいですか?
上記のようなことを踏まえますと、一概にどちらの有料老人ホームがよいということはいえませんが、利用目的によってどちらのタイプがより適しているのかは見えてきます。
■入居一時金が0円の有料老人ホーム
以下のような理由から、短期間の利用であることが明らかな場合には、入居一時金が0円の有料老人ホームを選択するのもよいでしょう。
・自宅の改築期間
・転院までのつなぎ
・老健への入所までのつなぎ...など
ただし、特養の空きを待つ間というのは、待機人数が膨大であることを考えますと現実的ではないかもしれません。
■入居一時金がかかる有料老人ホーム
以下のようなケースの場合には、長期・終身の利用として、入居一時金がかかる有料老人ホームのほうがよいかもしれません。
・退院後に一人暮らしを続けることが不安な場合
・在宅介護が難しくなった場合
なお、月額利用料金というのは、住み続ける限り、継続的に支払い続けるものですので、長期で利用する場合やその可能性がある場合には、目の前のことだけでなく、ご本人やご家族の将来のことまでを見通して、慎重に選択することが大切です。 |